国語の読解問題でよく出るのが接続語です。小学校では「つなぎ言葉」とも呼ばれています。
接続語の問題の多くは、「~に当てはまる語を選びなさい」という穴埋め問題(空欄補充問題)です。今回は、こうした穴埋め問題で正解するコツをわかりやすく解説します。
接続語とは何か?
接続語は文節の一種で、主語・述語・修飾語・独立語の仲間です。
単語で考えると、接続語には、「だから」「しかし」などの接続詞に加えて、「つまり」「たとえば」などの副詞や、「このように」など複数の単語から成る言葉も含まれます。
もっとも、接続語の穴埋め問題を解く上で、文節や単語がどうこうというマニアックな説明は要りません。受験生の皆さんは難しく考えず、入試本番で確実に正解することだけを考えてください。
接続語の5種類とは?
接続語の分類は参考書や指導者によってバラバラです。ここでは、穴埋め問題を解くのに役立つように、大きく5種類に分けておきます。その5種類は順接・逆接・説明・並列・転換です。
「順接」などの言葉自体はどうでもいいので、それぞれのはたらきを頭に入れてください。
1. 順接=一方通行の流れ
「だから・したがって・ゆえに・すると」などの接続語は、一方通行の流れのある「順接」と覚えておきましょう。一方通行の流れとは「理由・原因→結果」「根拠→結論」などです。
(例)では、「だから」の前の「墓場で幽霊を見た」が原因で、後ろの「びっくりした」が結果です。
原因と結果を入れ替えて「僕はびっくりした。だから、墓場で幽霊を見た。」とすると、ガラッと意味が変わります。このように、接続詞の前後を入れ替えられないのが順接です。
2. 逆接=前後の内容が反対・逆
「しかし・だが・ところが・ただし・一方」などの接続語は、前後の内容が反対・逆の「逆接」と覚えておきましょう。
(例)では、「しかし」の前の「彼はその祠を壊したから祟られるだろう」という予想に反して、後ろで「祟られなかった」となっています。
「『ただし』は補足、『一方』は対比」と分類されることがありますが、前後の内容が反対・逆になっているかどうかだけを考えておけば、多くの穴埋め問題では困りません。
3. 説明=前後の内容が同じ
「すなわち・つまり・要するに・たとえば」などの接続語は、前後の内容が同じ「説明」と覚えておきましょう。説明の接続語はイコール(=)を表します。
(例)では、「すなわち」の前の「光り輝く謎の物体」を、後ろで「UFO」に言いかえています。「光り輝く謎の物体=UFO」です。
説明に分類される接続語の中でも、特に「たとえば」が重要です。「AたとえばB」という場合、BはAの具体例になります。
4. 並列=2つ以上の事柄を並べる
「また・かつ・あるいは・さらに」などの接続語は、2つ以上の事柄を並べる「並列」と覚えておきましょう。説明の接続語はプラス(+)を表します。
(例)では、「しかも」の前後で「ターボババア」と「口裂け女」という2匹の妖怪を並べています。「ターボババア」と「口裂け女」を入れ替えても意味が通じるのが順接との違いです。
5. 転換=話題が大きく変わる
「さて・ところで・(それ)では」などの接続語は、話題が大きく変わる「転換」と覚えておきましょう。
(例)では、「ところで」の前後で話題が「スプーン曲げ」から「念写」へ大きく変わっています。
副詞の呼応とは何か?
接続語の穴埋め問題には副詞の呼応が混ざっていることがあります。副詞の呼応は、陳述の副詞が、後ろの言葉と結び付いて特定の意味になる表現です。
たとえば、「今年の猛暑日はまるで地獄のようだ。」という文では、「まるで」と「ようだ」が結びついて比喩(たとえ)を表します。
このような副詞の呼応については、次の代表的なものを覚えましょう。
副詞 | 後ろの言葉 | 意味 | 例文 |
---|---|---|---|
おそらく たぶん |
だろう | 推量 | おそらく湖の底に怪獣がいるのだろう。 |
決して まったく |
ない | 打消 | 決して封印を解いてはいけない。 |
どうして なぜ |
か | 疑問 | どうしてそこに幽霊が出るのか。 |
まるで あたかも |
ようだ | 比喩 | まるで悪魔のささやきのようだ。 |
もし たとえ 仮に |
ば でも |
仮定 | もし地球が滅亡しても、君を愛し続けるよ。 |
ただ |
だけ のみ |
限定 | ただゾンビに襲われないことだけを願う。 |
なぜなら | から | 理由 | なぜなら吸血鬼は日光に弱いからだ。 |
接続語の穴埋め問題で正解するコツは?
接続語の穴埋め問題では、穴(空欄)の前後の文を確認して、その論理関係(つながり)をチェックしていきます。正解するコツは、最初から順番に埋めるのではなく、確実に正解できるところから埋めていくことです。このときに次の順番で埋めていくのがおすすめです。
副詞の呼応は、「『ようだ』が文末にあるから『まるで』を入れる」のように、後ろの言葉だけから判断します。前後の言葉や文脈などは関係ありません。
ここまでをふまえて次の【問題】を解きましょう。
【問題】次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(書き込みなどをしながら問題を解きたい読者はPDFをダウンロードしてください)
日本には、全てのものに神が宿るというアニミズムの考え方がある。昔の人々は、海や山、風、雷、(A)道具にも神の姿を見てきた。(B)、あらゆるものを神としてまつり大切にした。
こうしたアニミズムの考え方は江戸時代になると薄れていく一方で、付喪神(つくもがみ)が描かれるようになった。付喪神とは、古くなった物に霊などが宿って生まれた妖怪だ。
江戸時代中期の絵師・鳥山石燕(とりやませきえん)は、妖怪画集『百鬼徒然袋(ひゃっきつれづれぶくろ)』に付喪神を描いた。(C)、「雲外鏡(うんがいきょう)」は、鏡に怪しい顔が浮かび上がっている。「木魚達磨(もくぎょだるま)」は、葬式などで使われる木魚の妖怪だ。名前の通り、(D)インドの僧侶・達磨大師(だるまだいし)のような姿をしている。
江戸時代以前の文献には、雲外鏡や木魚達磨の記述が(E)存在しない。(F)、雲外鏡も木魚達磨も石燕が創作した妖怪だ。このように、江戸時代には、たくさんの付喪神がキャラクターとして生み出されていった。
問 文中の(A)~(F)に入る語としてふさわしいものを次の中から選び、それぞれ記号で答えなさい。ただし、同じものを二回以上使用してはいけません。
ア たとえば イ つまり ウ まるで エ さらには オ しかし カ まったく キ だから
まずは、与えられた接続語の中に副詞の呼応がないかを確認します。ウ「まるで」は「ようだ」と、カ「まったく」は「ない」とそれぞれ結びつきます。そのため、「ようだ」と「ない」を探すと、(D)の後ろに「ような」が、(E)の後ろに「ない」がそれぞれありました。したがって、(D)はウで、(E)はカです。
次に、アの「たとえば」の入るところを決めてしまいます。(C)の前に「付喪神」とあり、(C)の後ろで「付喪神」の具体例である「雲外鏡」と「木魚達磨」の説明が続きます。したがって、(C)はアです。
さらに、(A)(B)(F)の前後がそれぞれ逆接や順接になっていないかどうかを確認します。(B)の前は「昔の人々は、海や山…にも神の姿を見てきた」(理由)で、(B)の後ろは「あらゆるものを神としてまつり大切にした」(結果)です。したがって、(B)には順接のキ「だから」を入れます。
最後に、残った(A)と(F)を検討します。(A)の前後には「海」「山」「風」「雷」「道具」という、一見すると無関係なものがズラッと並んでいます。そのため、(A)には並列のエ「さらには」を入れます。(F)の前後は「江戸時代以前の文献には…存在しない=石燕が創作した」と考えて、(F)には説明のイ「つまり」を入れます。
コメント