『竹取物語』の「蓬莱の玉の枝」「ふじの山」で定期テストによく出る問題は?

『竹取物語』の「蓬莱の玉の枝」「ふじの山」で定期テストによく出る問題は? 古典
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 日本最古の作り物語『竹取物語』の中から、中学国語の教科書に載っていることの多い「蓬莱の玉の枝」と「ふじの山」を紹介します。定期テストでよく出る問題を解きましょう。以下が原文の引用です。

 これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中より出で来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。女、答へていはく、「これは蓬莱の山なり。」と答ふ。これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
 その山、見るに、さらに登るべきやうなし。その山のそばひらをめぐれば、世の中になき花の木ども立てり。金・銀・瑠璃色の水、山より流れいでたり。それには、色々の玉の橋渡せり。そのあたりに、照り輝く木ども立てり。その中に、この取りて持てまうで来たりしは、いとわろかりしかども、のたまひしに違はましかばと、この花を折りてまうで来たるなり。

 御文、不死の薬の壺ならべて、火をつけて燃やすべきよし仰せたまふ。そのよしうけたまはりて、士どもあまた具して山へ登りけるよりなむ、その山を「ふじの山」とは名づけける。その煙、いまだ雲の中へ立ち上がるとぞ、言ひ伝へたる。

『竹取物語』の「蓬莱の玉の枝」で定期テストによく出る問題

 竹取の翁(おきな。おじいさん)と媼(おうな。おばあさん)は、光る竹の中から現れた女の子を「かぐや姫」と名づけ、我が子のように育てることにしました。その後、竹の中から黄金が出てくることが続き、老夫婦は大金持ちになります。

『竹取物語』の「蓬莱の玉の枝」「ふじの山」で定期テストによく出る問題は?

蓬莱の玉の枝

 かぐや姫はわずか数か月で美しく成長しました。その美しさは国中の評判となり、何人もの男たちがかぐや姫に求婚します。その中には5人の貴公子たちもいました。かぐや姫は貴公子たちに「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の裘(かわごろも)」「龍の首の珠(たま)」「燕の産んだ子安貝」をそれぞれ持って来ることを要求します。

 貴公子の一人・車持皇子(くらもちのみこ)は職人たちに蓬莱の玉の枝の偽物を作らせ、それをかぐや姫のもとへ持って来ました。そして、長く辛い航海の末、蓬莱の山にたどり着き、そこで蓬莱の玉の枝を見つけたと語ります。その内容が次の文章です。

 ①これやわが求むる山ならむと思ひて、②さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、A見歩くに、天人の③よそほひしたる女、山の中より出で来て、B銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。④これを見て、船より下りて、「この山の名を⑤何とか申す。」と問ふ。女、答へていはく、「これは蓬莱の山なり。」と答ふ。これを聞くに、⑥うれしきことかぎりなし
 その山、見るに、⑦さらに登るべきやうなし。その山のそばひらをめぐれば、世の中になき花の木ども立てり。C・銀・瑠璃色の水、山より流れいでたり。それには、色々の玉の橋渡せり。そのあたりに、照り輝く木ども立てり。その中に、⑧この取りて持てまうで来たりしは、いとわろかりしかども、⑨のたまひしに違はましかばと、この花を折りてまうで来たるなり。
狸雄
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おいらが問題を出していくから、答えてね!

1. 漢字の読みを答える問題

狸雄
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問1. 下線部A~Cの漢字の読みを、送り仮名も含めてそれぞれひらがなで答えなさい。

 問1の答えは「A みありく B しろかねのかなまる C こがね」です。「金」は「こね」ですが、「銀」は「しろね」なので要注意です。

2. 現代語訳する問題

狸雄
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問2. 下線部①を現代語訳しなさい。

 古文を現代語訳(口語訳)する場合、英語とは違って、一字一句正確に現代語に訳すことが必要です。ただし、教科書に載っている訳や、学校の先生が教えてくれた訳は、たとえ不正確な訳でも「正しい」訳とします

 問2の答えは「これは私が求める山だろうか」です。「これや」の「や」は係助詞で、推量の助動詞「む」の連体形との組み合わせで係り結びになっています。「や~連体形」は疑問を表すので、「や~む」は「~だろうか」と訳します。「わが」は「我が=私が」です。

3. 古語の意味を答える問題

狸雄
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問3. 下線部②の「さすがに」と「おぼえて」の意味を答えなさい。

 現代語と古語で意味が違う言葉を現古異義語といいます。現古異義語は定期テストで出やすいので、教科書通り(教わった通り)に意味を覚えましょう。

 問3の答えは「(さすがに)やはり (おぼえて)思われて」です。「さすがに」は形容詞「さすがなり」の連用形です。

4. 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題

狸雄
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問4. 下線部③を現代仮名遣いに直しなさい。

 問4の答えは「よそおい」です。単語の最初以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」 は「わ・い・う・え・お」になります。歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルールがわからない場合は、以下の記事で復習してください。

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5. 指示語の内容を答える問題

狸雄
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問5. 下線部④の内容を四十字以内で説明しなさい。

 問5の答えは「(例)天人の服装をした女が、山の中から出て来て、銀の金鋺を持って、水をくんで歩く様子。」です。「これ」は指示語で、直前の文の一部がその指示語の内容です。そのため、直前の文の一部(「天人の~くみ歩く」)を訳して、文末を「~様子。」などにしたものを答えとしましょう。

6. 現代語訳する問題

狸雄
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問6. 下線部⑤を現代語訳として最も適切なものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

ア 何とか申したい

イ 何とか申してほしい

ウ 何と申すのか

エ 何と申したか

 問6の答えはです。「何とか」の「か」は係助詞で、動詞「申す」の連体形との組み合わせで係り結びになっています。「か~連体形」は疑問を表すので、「か~申す」は「~申すのか」と訳します。エは「~た」という過去の意味が不要です。

7. 本文の読解に関する問題

狸雄
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問7. 下線部⑥について、車持皇子はなぜうれしかったのですか。四十字以内で説明しなさい。

 問7の答えは「(例)女から山の名前を聞いて、探し求めていた蓬莱の山にたどりついたとわかったから。」です。

 まず、下線部⑥の前に「これを聞くに」とあるので、誰から何を聞いたのかを確認しましょう。「これ=これは蓬莱の山なり」なので、女から山の名前を聞いたことがわかります。

 次に、蓬莱の山が車持皇子にとってどのような山なのかを確認しましょう。問2から、車持皇子は蓬莱の山を探し求めていたことがわかります。

8. 現代語訳する問題

狸雄
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問8. 下線部⑦を現代語訳しなさい。

 問8の答えは「まったく登りようがない」です。「さらに」は、後ろに打消の言葉が来ると、「まったく~ない」という意味になります

9. 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題

狸雄
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問9. 下線部⑧の「まうで」を現代仮名遣いに直しなさい。

 問9の答えは「もうで」です。「まうで」をローマ字に直すと maude です。母音(ぼいん)の連続 au が長音化します

まうで → maude → mōde → モーデ → もうで

 母音の長音化のルールがわからない場合は、以下の記事で復習してください。

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10. 現代語訳する問題

狸雄
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問10. 下線部⑧の「いとわろかりしかども」を現代語訳しなさい。

 問10の答えは「それほどよくなかったが」です。定期テストでは、教科書に載っている訳や、学校の先生が教えてくれた訳を答えてください

「いとわろかりしかども」は「いと/わろかり/しか/ども」と品詞分解します。

  • 「いと」は、後ろに打消の言葉が来ると、「それほど・たいして(~ない)」という意味になる。
  • 「わろかり」は、「よくない」という意味の形容詞「わろし」の連用形。
  • 「しか」は過去の助動詞「き」の已然形。
  • 「ども」は逆接の接続助詞。

11. 主語を明示して現代語訳する問題

狸雄
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問11. 下線部⑨を、「のたまひし」の主語がわかるように現代語訳しなさい。

 問11の答えは「かぐや姫がおっしゃったものと違ってはいけない」です。「かぐや姫が」が「のたまひし」の主語です。

「のたまひしに違はましかば」は「のたまひ/し/に/違は/ましか/ば」と品詞分解します。

  • 「のたまひ」は、「言う」の尊敬語の動詞「のたまふ」の連用形。
  • 「し」は過去の助動詞「き」の連体形。後ろに「もの」などを補って訳す。
  • 「ましかば」で「~ならば」を表す。後ろに「いけない」などを補って訳す。

「蓬莱の玉の枝」の現代語訳と車持皇子のその後

【現代語訳】これは私が求める山だろうかと思って、やはり恐ろしく思われて、山の周りをこぎ回らせて、二、三日ばかり、見て歩くと、天人の服装をしている女が、山の中から出て来て、銀のお椀を持って、水をくんで歩く。これを見て、(私は)船から下りて、「この山の名を何と申すのか。」と問う。女は答えて言うには、「これは蓬莱の山だ。」と言う。これを聞いて、うれしくてたまらない。
 その山は、見ると、全く登りようがない。その山の周りを回ると、この世にはない花の木々が立っている。金・銀・瑠璃色の水が、山から流れ出ている。それ(その流れ)には、さまざまな色の玉でできた橋が渡してある。その近くに、光り輝く木々が立っている。その中に、この取って参ったのは、それほどよくないが、(かぐや姫が)おっしゃったものと違っては(いけない)と思い、この花を折って参ったのだ。

 車持皇子が持ってきた蓬莱の玉の枝の偽物は、いかにも本物のようでした。そのため、かぐや姫は車持皇子と結婚することに――。

 しかし、車持皇子から報酬をもらっていない職人たちがやって来て、蓬莱の玉の枝が偽物であることをばらします。かぐや姫は、車持皇子と結婚しなくて済んだことを喜び、職人たちに褒美を与えました。車持皇子は職人たちを恨んで暴行を加えた後、行方をくらましてしまいました。

『竹取物語』の「ふじの山」で定期テストによく出る問題

 かぐや姫は翁に「自分は月の都の人であり、月に帰らなければならない」と打ち明けます。このことを知った帝は、かぐや姫を帰さないため、軍勢を送ってかぐや姫を守らせました。しかし、夜空からやって来た天人たちの前では誰もが無力でした。

 天の羽衣をまとったかぐや姫は、和歌を書いた手紙を帝に送ります。その手紙には不死の薬が添えられていました。そして、かぐや姫は月へと帰って行きました。帝が手紙と薬を受け取った後の話が次の文章です。

 御文、不死の薬の壺ならべて、火をつけて燃やすべきよし①仰せたまふ。②そのよしうけたまはりて、③士どもあまた具して山へ登りけるよりなむ、④その山を「ふじの山」とは名づけける。その煙、いまだ雲の中へ立ち上がるとぞ、言ひ伝へたる。

1. 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題

狸雄
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問1. 下線部①を現代仮名遣いに直し、すべてひらがなで書きなさい。

 問1の答えは「おおせたもう」です。「すべてひらがなで」という条件があるので、「仰」もひらがなにしましょう。

「仰せ」は「おほせ」と書きます。単語の最初以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」 は「わ・い・う・え・お」になるので、「おせ」は「おせ」です。同じルールから「たま」は「たま」になり、これをローマ字に直すと tamau です。母音(ぼいん)の連続 au が長音化します

たまう → tamau → tamō → タモー → たもう

 母音の長音化のルールがわからない場合は、以下の記事で復習してください。

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『竹取物語』の冒頭部分を使って、中学の定期テストでよく出る問題パターンを紹介します。かぐや姫の誕生を読みながら、古文の基礎を学びましょう。

2. 指示語の内容を答える問題

狸雄
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問2. 下線部②の内容で説明しなさい。

 問2の答えは「(例)手紙と不死の薬の壺を並べて、火をつけて燃やすようにという帝の命令。」です。「その」は指示語で、直前の文がその指示語の内容です。そのため、直前の文(「御文~仰せたまふ」)を訳してまとめます。

3. 漢字の読みを答える問題

狸雄
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問3. 下線部③の「士」の読みを、現代仮名遣いを用いてひらがなで答えなさい。

 問3の答えは「つわもの」です。歴史的仮名遣いだと「つもの」と書きます。

4. 現代語訳する問題

狸雄
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問4. 下線部④を現代語訳しなさい。

 問4の答えは「兵士たちをたくさん引き連れて」です。以下の古語の意味を正しく訳しましょう。

  • 士 … 兵士。
  • あまた … たくさん。数多く。
  • 具す … 引き連れる。連れて行く。

 ちなみに、この部分の省略された主語は「帝の使者は」です。「兵士たち」と訳すと間違いになるので注意しましょう。

5. 本文の読解に関する問題

狸雄
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問5. 下線部⑤について、このように呼ばれるようになった理由を説明しなさい。

 問5の答えは「(例)天皇の使者が兵士をたくさん引き連れて登った山だから。」です。「む山=富士山」というダジャレです。

6. 古典文法に関する問題

狸雄
狸雄

問6. 本文中から係助詞をすべて抜き出しなさい。

 問6の答えは「なむ・ぞ」です。「登りけるよりなむ」の「なむ」と、「立ち上がるとぞ」の「ぞ」を抜き出しましょう。

 係助詞には「ぞ・なむ(なん)・や・か・こそ」の5つがあります。係り結びのような古典文法(助動詞の意味など)は、学校で教わった場合だけ定期テストに出る可能性があります。

「ふじの山」の現代語訳

【現代語訳】(帝は)お手紙と、不死の薬の壺を並べて、火をつけて燃やすようにと、ご命令になる。その旨を承って、(帝の使者が)兵士たちをたくさん引き連れて山に登ったということから、その山を「ふじの山」と名付けたそうだ。その煙は、いまだに雲の中へ立ち上っていると、言い伝えている。 

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