『竹取物語』冒頭で定期テストによく出る問題は?かぐや姫の誕生から古文の基礎を学ぶ

『竹取物語』冒頭で定期テストによく出る問題は?かぐや姫の誕生から古文の基礎を学ぶ 古典
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 中学国語でおなじみの古文が『竹取物語』です。「かぐや姫」の昔話やおとぎ話としてよく知られています。

 そんな『竹取物語』の冒頭部分を使って、中学の定期テストでよく出る問題パターンを紹介します。以下が冒頭部分の引用です。

 今は昔、竹取の翁(おきな)といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋(ひとすぢ)ありける。あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いと美しうてゐたり。

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルール

 古文を学ぶ上で必ず覚えておかなければならないのは、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルールです。歴史的仮名遣いとは、平安時代の文学作品をもとにした書き言葉で、第二次世界大戦が終わった直後まで使われていました。

 古典の読解では、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すことが求められます。そのときのルールは次の通りです。

1. 単語の最初以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」 → 「わ・い・う・え・お」 
(例)い → い、つかけり → つかけり

2. ワ行の「ゐ・ゑ・を」 → 「い・え・お」
(例)たり → たり、こ → こかし → かし

3. 「む」「らむ」「けむ」「なむ」などの「む」 → 「ん」
(例)竹な → 竹な

4. 「ぢ・づ」 → 「じ・ず」
(例)ひとす → ひとす、よろ → よろ

5. 「くわ・ぐわ」 → 「か・が」
(例)くわんのん → んのん、ぐわんじつ → んじつ

6. 母音の連続 → 長音化

 6について詳しく解説します。

 母音(ぼいん)とはa、i、u、e、oの5つの音です。言葉をローマ字で書いたとき、母音が連続していると、長音(伸ばす音。「ルール」の「ー」の音)になることがあります。

 長音化するのは次の3パターンだけなので、覚えてしまいましょう。6のルールは、ローマ字で考えるとわかりやすいはずです。( ō などの上に付いている横棒が伸ばす音の目印です)

  • au → ō (例)まうす → mausu → mōsu → モース → もうす(申す)
  • iu → yū (例)しうか → shiuka → shka → シューカ → しゅうか(秀歌)
  • eu → yō (例)てうし → teushi → tshi → チョーシ → ちょうし(調子)

 たとえば、「申す」はカタカナで書くと「モース」ですが、ひらがなで書くと、「ー」を「う」にして「もうす」となるので要注意です。

定期テストでよく出る問題パターン11選

 中学校の定期テストに出やすい問題を確認しましょう。以下で紹介するタイプの問題は、高校入試の古文でもよく出ます。

 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

 今は昔、竹取の①といふものAありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、②よろづのことに使ひけり。名をば、③さぬきの造と④なむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋Bありける。⑤あやしがりて、寄りてC見るに、筒の中光りたり。⑥それD見れば、⑦三寸ばかりなる人、⑧いと美しうてゐたり

狸雄
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おいらが問題を出していくから、答えてね!

1. 漢字の読みを答える問題

狸雄
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問1. 下線部①の漢字の読みをひらがなで書きなさい。

 古文には、現代ではあまり見かけない漢字や、現代語とは読みが異なる漢字があります。これらの読みを教科書通り(教わった通り)に覚えましょう。

 問1の答えは「おきな」です「翁」は「おきな」と読み、「おじいさん」を意味します。一方、「媼(おうな)」は「おばあさん」を意味する言葉で、こちらも『竹取物語』に出てきます。

 また、「造」も「みやつこ」と読むことに注意しましょう。

2. 古語の意味を答える問題

狸雄
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問2. 下線部②の意味を答えなさい。

 現代では(あまり)使われない古語の意味を答える問題はよく出ます。学校の授業で教わった古語や、教科書の訳や注に出てくる古語については、教科書通り(教わった通り)に意味を覚えましょう。

 問2の答えは「いろいろなこと(さまざまなこと)」です「よろづ(よろ)」は、漢字で「万」と書くことからもわかる通り、「たくさんあること」「あらゆること」を意味します。問2の「よろづ」は「あらゆること」の方ですが、教科書の訳の通り覚えましょう。

3. 同一人物を答える問題

狸雄
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問3. 下線部③と同じ人物を表す言葉を本文中から五字以内で抜き出しなさい。

 古文では、同一人物がさまざまな呼ばれ方で何度も出てくるので、誰のことを表すのかをいちいちチェックしましょう

 問3の答えは「竹取の翁」です。今回の登場人物は「竹取の翁(さぬきの造)」がメインで、最後の方に「三寸ばかりなる人(かぐや姫)」が出てくるだけなので、混乱しないと思います。

4. 古典文法に関する問題

狸雄
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問4. 下線部④は、助詞の「なむ」があるため、文末が連体形の「ける」になっています。このような表現技法を何といいますか。

 問4の答えは「係り結び(の法則)」です(ちなみに、次の文の「なむ一筋ありける」も係り結びです)。係り結びとは、係助詞と文末の活用形の組み合わせで何らかの意味を表す古典文法です。具体的には次の表の通りです。

係助詞 文末の活用形 意味
連体形 強意
なむ(なん)
疑問・反語
こそ 已然形 強意

 強意を訳に反映させる必要はありません。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、これは「上手になれ」という命令の意味ではありません。係助詞「こそ」と文末の已然形「なれ」が係り結びになっていて、強意を表します。そのため、単に「好きなら、その物事は上手になる」という意味です。

 一方、疑問・反語は「~か」と訳します。特に反語は「~か、いや、~でない」という意味になるので要注意です。

 係り結びに限らず、古典文法(助動詞の意味など)については、学校で教わった場合だけ定期テストに出る可能性があります。授業のノートやプリントなどで確認して、必要ならば覚えましょう。

5. 本文の読解に関する問題

狸雄
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問5. 下線部⑤は「不思議に思って」という意味です。竹取の翁が不思議に思ったことを二十字以内で説明しなさい。

 現代文の読解問題と同じく、傍線部(下線部)の言いかえや理由説明など、本文の読解に関する問題は必ず出ます。古文の場合、答えになるところを本文から見つけて訳した後、言葉の接続や文末に注意してまとめる必要があります

 問5の答えは「(例)竹の中に根もとが光る竹が一本あったこと。」です。答えになるところは直前の「その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける」です。「もと」が「根もと」という意味で、「ける」は「~した」と訳すこと以外、特に難しい古語や文法はありません。「その竹の中に、根もとの光る竹が一本あった」が現代語訳なので、二十字に収まるように「その」「、」を省略し、文末を「こと。」としてまとめましょう。

6. 指示語の内容を答える問題

狸雄
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問6. 下線部⑥の内容を本文中から抜き出しなさい。

 古文にも指示語(こそあど言葉)があり、指示語の内容を答える問題も現代文と同じようによく出ます。指示語の直前の言葉がその指示語の内容になるのが原則です。

 問6の答えは「筒の中」です。「それを見れば」とあるので、竹取の翁が見たものを抜き出すだけです。

7. 古文常識に関する問題

狸雄
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問7. 下線部⑦は現在の約何cmですか。小数点以下を切り捨てて整数で答えなさい。

 教科書の注に載っている古文常識をテストで答えさせる先生もいます。そういう先生が問題を作ることがわかっている場合、教科書に書かれていることを隅から隅まで覚えましょう。

 問7の答えは「約9cm」です。一寸が3.03cmなので、三寸は一寸を3倍して9.09cmです。

8. 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題

狸雄
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問8. 下線部⑧を現代仮名遣いに直し、すべてひらがなで書きなさい。

 この記事の最初でも解説しましたが、中学の古文のテストでは、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題が必ず出ます。

 問8の答えは「いとうつくしゅうていたり」です。まず、ワ行の「ゐ」は「い」です。次に、「しう」が shiu → sh なので「シュー」と読みますが、ひらがなだと「しゅう」になります。「すべてひらがなで」という条件があるので、「美」もひらがなにしましょう。

9. 現代語訳する問題

狸雄
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問9. 下線部⑧を現代語訳しなさい。

 古文を現代語訳(口語訳)する場合、英語とは違って、一字一句正確に現代語に訳すことが必要です。文末が「~だ。」なのか「~です。」なのかもきっちり区別しましょう。ただし、教科書に載っている訳や、学校の先生が教えてくれた訳は、たとえ不正確な訳でも「正しい」訳とします

 問9の答えは「とてもかわいらしい様子で座っている」です

 まず、「いと美しうてゐたり」を単語に分解すると(品詞分解)、「いと/美しう/て/ゐ/たり」となります。

 次に、それぞれの単語を訳していきます。重要古語の「いと」は「とても」、「美し」は「かわいらしい」です。「ゐ」は「ゐる」の連用形で「座る」という意味です。また、「たり」は完了と存続の意味がありますが、竹取の翁が見ていることをふまえて、存続「~している」と訳しましょう。

10. 主語をとらえる問題

狸雄
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問10. 下線部A~Dの中で、主語が他と異なるものを一つ選び、記号で答えなさい。

 古文では、主語がわかりにくかったり、省略されたりすることがよくあります。そのため、これらの主語をとらえる問題がよく出ます。

 問10の答えはBです。Bの主語は直前の「もと光る竹」です。他は竹取の翁が主語です。

 古文で主語をとらえるためのルールを詳しく知りたい中学生の皆さんは、以下の記事を読んでみてください。ただ、高校生向けの記事なので難しいかもしれません。

古文で主語をとらえるためのルールとは?『宇治拾遺物語』のヒラタケ怪談が薄気味悪い
古文では、主語に印をつけ、省略されている主語を補いながら読むことが大切です。そのためのルールを『宇治拾遺物語』のヒラタケ怪談で解説します。

11. 文学史に関する問題

狸雄
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問11. 次の(ア)~(エ)に当てはまる言葉をそれぞれ答えなさい。

 本文は、(ア)時代前期に成立した書物『(イ)』に収められています。『(イ)』のジャンルは(ウ)です。また、後に成立した『(エ)』では「物語の出で来はじめの祖(おや)」として紹介されています。

 中学の定期テストで必ず出ます。本文が収められている書物名・作者名・成立した時代・特徴を表す言葉・関連する他の作品など、教科書に書かれている知識は必ず覚えましょう。

 問11の答えは「ア、平安  イ、竹取物語 ウ、作り物語 エ、源氏物語」です。『竹取物語』の作者は不明です。

『竹取物語』の冒頭部分の現代語訳

『竹取物語』の冒頭部分の現代語訳は以下の通りです。

【現代語訳】今となってはもう昔のことだが、竹取の翁という者がいた。野や山に分け入って竹を取っては、いろいろなことに使っていた。名前を、さぬきの造といった。(ある日)その竹の中に、根もとが光る竹一本あった。不思議に思って、近寄ってみると、竹筒の中が光っている。それを見ると、三寸ぐらいの人が、とてもかわいらしい様子で座っている。

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