中学2年生の狸雄は、中東情勢のニュースを見ているとき、イスラエルの国旗に描かれた六芒星(ヘキサグラム)に興味を持ちました。六芒星は2つの正三角形を重ねた図形で、内部に正六角形ができています。「ダビデの星」と呼ばれるユダヤ民族の象徴です。
日本で魔除けとされる「籠目(かごめ)」も六芒星です。ダビデの星と籠目が同じ図形である以上、ユダヤ人と日本人に共通点があるのかも……。そんなことを考える狸雄は、六芒星でいろいろ遊んでみることにしました。
六芒星の面積をどうやって求めるの?
【問題1】狸雄は、面積が36cm2の正三角形を2つ重ねて、図1の六芒星を作りました。六芒星の内部には正六角形ができています。
(1) 図1の六芒星の面積は何cm2ですか。
(2) 図2のように、正六角形の各辺の真ん中の点(中点)を青線で結んで、青い六芒星を作りました。この青い六芒星の面積は何cm2ですか。
(3) 図3のように、正六角形の各頂点を赤線で結んで、赤い六芒星を作りました。この赤い六芒星の面積は何cm2ですか。
【問題1】では、六芒星の中に正六角形があることに注目します。正六角形の中や外にできる図形の面積を求める場合、正六角形を同じ面積の三角形に分割しましょう。
基本的な分割方法として、以下の6分割があります。
さらに、6分割を以下のような12分割と18分割にします。18分割は、形が違うけれども面積が等しい三角形があるので、混乱しないようにしましょう。
(1)では、以下のように正六角形を6分割すると、大きな正三角形(緑の正三角形)1個が小さな正三角形9個分だとわかります。さらに、小さな正三角形が3個くっついたのが図1の六芒星です。
大きな正三角形(緑の正三角形)1個の面積が36cm2なので、小さな正三角形1個の面積は36÷9=4(cm2)です。したがって、図1の六芒星の面積は4×12=48(cm2)です。
正六角形の各辺の中点を結んで作った六芒星の面積
(2)では、下の図のように、2つ重なっている正三角形を1つだけにすると、青い正三角形の面積がわかります。
もとの正三角形を4分割すると図2の青い正三角形になるので、青い正三角形の面積は36÷4=9(cm2)です。
(1)と同じ計算をして、青い六芒星の面積は9÷9×12=12(cm2)です。
正六角形の各頂点を結んで作った六芒星の面積
(3)では、下の図のように、正六角形を二等辺三角形に6分割すると、赤い正三角形の面積がわかります。
(1)より、正六角形は、大きな正三角形を9分割してできた小さな正三角形6個分です。したがって、正六角形の面積は36÷9×6=24(cm2)です。
図3の赤い正三角形は、正六角形を6分割してできた二等辺三角形3個分です。したがって、正三角形の面積は24÷6×3=12(cm2)です。
(1)と同じ計算をして、赤い六芒星の面積は12÷9×12=16(cm2)です。
六芒星の一部を重ねた図形の面積をどうやって求めるの?
【問題2】狸雄は、面積が12cm2の正三角形の一部を重ねながら、下の図のように図形を作っていきました。このとき、10番目の図形の面積は何cm2ですか。
【問題2】では、下の図のように、面積が1cm2の正三角形と6cm2の正六角形が何個ずつ増えているのかを考えます。念のため、4番目の図形も書いて数えてみましょう。
- 1番目 … 正三角形は6個、正六角形は1個
- 2番目 … 正三角形は6+7(個)、正六角形は1+2(個)
- 3番目 … 正三角形は6+7+9(個)、正六角形は1+2+3(個)
- 4番目 … 正三角形は6+7+9+11(個)、正六角形は1+2+3+4(個)
正三角形の個数は3番目から2個ずつ増えています。一方、正六角形は1個ずつ増えています。この規則性から、10番目のそれぞれの個数は次の通りです。(下線部で等差数列の和の公式「(初めの数+終わりの数)×個数÷2」を使いました)
- 正三角形は6+7+9+11+13+15+17+19+21+23=6+(7+23)×9÷2=141(個)
- 正六角形は1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=(1+10)×10÷2=55(個)
したがって、10番目の図形の面積は1×141+6×55=471(cm2)です。
ダビデの星と籠目が同じ図形なのはどうして?
六芒星は「ダビデの星」と呼ばれていますが、古代イスラエルのダビデ王と同関連するのかは諸説あるようです。19世紀初め、ユダヤ系大富豪のロスチャイルド家が六芒星を家紋に取り入れたことから、六芒星がユダヤ民族のシンボルとして普及したといわれます。ロスチャイルド家が登場するあたりで陰謀論の臭いが……(笑)
一方、六芒星を「籠目」と呼ぶのは、籠の網目の形に由来します。現在は入れ物として使われている籠はもともと呪具だったという説があります。東南アジア各地では現在も、呪具としての籠が存在し、悪霊を祓う役割を担っています。日本の一部地域でも、一つ目の鬼に竹籠のたくさんの目を見せて驚かせて追い返すなど、目の多さで悪霊を撃退すると言い伝えられます。ちなみに、ケチャップで有名な食品メーカー・株式会社カゴメのロゴももともとは六芒星でした。
伊勢神宮の内宮への参道にも、六芒星が刻まれた石灯籠が2018年まで設置されていました。このことも含め、神道とユダヤ教の類似点などを根拠として、日本人の祖先がユダヤ人であるという日ユ同祖論が唱えられています。この説の一つによると、ユダヤ人がシルクロードを通って中国に入り、朝鮮半島を経由して、応神天皇の代(5世紀頃)の日本に渡来したのが秦氏(はたし)だといいます。秦氏は絹織物や土木技術、採鉱・精錬、薬草の知識などをもたらした渡来人で、平安京遷都にも大いに貢献したとされます。
童謡「かごめかごめ」は「籠目籠目=ダビデの星」であるとし、ユダヤ人と強く結びつくヘブライ語で歌詞を読み解くというユニークな試みもあります。「かごめかごめ」が、『旧約聖書』に記される契約の箱(アーク)の行方を示しているとか……。
日本人のルーツをたどる中で、六芒星がしばしば登場するのはとても興味深いと思います。
オクラの切り口も六芒星だよね。ということは、日本人もユダヤ人も祖先はオクラだったんだ!
あんた、バカ?
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