21世紀に生まれた中学受験生の皆さんは、ノストラダムスの大予言を知っていますか?
ノストラダムスは、16世紀のフランスで活躍した医師・占星術師です。彼の著書『予言集』には次の言葉が記されています。
1999年7の月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アンゴルモアの大王を蘇らせ、
マルスの前後に首尾よく支配するために。
この言葉が日本では「1999年7の月に人類が滅亡する」と解釈され、「ノストラダムスの大予言」として人々の関心を集めました。日本のオカルトブームの先駆けです。
もっとも、1999年には人類が滅亡するような出来事は起こりませんでした。それもそのはず、ノストラダムスの大予言は、作家の五島勉(ごとうべん)の創作だったのですから……。
そんなノストラダムスの大予言をテーマとして、中学受験算数でよく出る日暦算(にちれきざん)を基礎から学びましょう。
日暦算とはどのような特殊算か?
【問題】ノストラダムスの大予言がブームとなったきっかけは、五島勉の著書『ノストラダムスの大予言 迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日』です。この本は1973年11月25日日曜日に出版されました。
(1) ノストラダムスの大予言がブームとなった背景には、第四次中東戦争がきっかけで起こった第一次オイルショックがあります。オイルショックの影響で、全国のスーパーでトイレットペーパーが買い占められました。このトイレットペーパー騒動が始まった1973年10月31日は何曜日でしたか。
(2) ノストラダムスの大予言がブームとなったため、東宝はパニック映画『ノストラダムスの大予言』を制作しました。この映画が公開された1984年8月3日は何曜日でしたか。
(3) ノストラダムスの大予言は外れ、人類は滅亡しませんでした。このことが明らかとなった1999年8月1日は何曜日でしたか。ただし、うるう年は次のように決められています。
「西暦年号が4で割り切れる年をうるう年とする。ただし、西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年はうるう年ではない。」
【問題】のように、暦(カレンダー)の規則を利用して曜日や日数を求める特殊算が日暦算です。規則的な繰り返しを利用する周期算の考え方を応用します。
日暦算を解くには、次の常識を知っている必要があります。
- うるう年でない年の1年は365日で、うるう年の1年は366日。
- 原則として1か月は31日で、4・6・9・11月は30日。
- 2月は、うるう年でなければ28日で、うるう年ならば29日。
1か月が31日ではない月の覚え方は「にしむくさむらい=二四六九士=2・4・6・9・11」という語呂合わせが有名です。
上の1~3と、【問題】の(3)に書かれたうるう年の決め方を、中学受験生はしっかり覚えましょう。
日暦算はどうやって解くの?
【問題】では、1973年11月25日が日曜日だとわかっています。そして、(1)の1973年10月31日は、1973年11月25日の25日前です。
ちなみに、「●日前」という場合、基準となる日は含みません。たとえば、11月25日の3日前は、25-3より11月22日です。11月23日ではないことに注意しましょう。
カレンダーを書いて解く
(1)を解くだけなら、下のように1973年11月のカレンダーを書いてしまえば、1973年10月31日が水曜日とわかります。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
10/31 | 1 | 2 | 3 | |||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
日数のあまりを求めて解く
(2)以降を考えると、カレンダーを書くのではなく、計算で解きたいところです。そこで、日数と曜日の間に規則性がないかを考えます。
11月25日の1日前の11月24日は土曜日、2日前の23日は金曜日、…と見ていくと、7日前の18日で日曜日に戻ります。そして、8日前の17日は土曜日、9日前の16日は金曜日、…と7日ごとに同じ曜日がくり返されます。(この7日を「周期」といいます)
ここで「●日前」の●を7で割ってあまりを求めましょう。1日前のあまりは1、2日前のあまりは2、…、7日前のあまりは0、8日前のあまりは1、9日前のあまりは2、…より、あまりが1の日は土曜日、あまりが2の日は金曜日、…、あまりが0の日は日曜日という規則性があることがわかりました。
この規則性を使うと、25日前を7で割って25÷7=3あまり4より、1973年10月31日は水曜日です。
1週間が7日のカレンダーを使った日暦算では、日数を7で割ったあまりで曜日を決めるのがポイントです。
数十年後の人類滅亡よりも、数日後のトイレットペーパー不足の方が現実的な恐怖じゃないかしら? トイレでウンコをしてお尻を拭こうと思ったら、どこにも紙がないなんて……。トイレから出られなくなっちゃうわ。ああ、怖いっ!
何か月も後の曜日を知る方法は?
(2)は(1)と逆に日数を数えますが、(1)と同じように計算で曜日を求められます。「●日後」の●を7で割って、あまりが1の日は月曜日、あまりが2の日は火曜日、…、あまりが0の日は日曜日です。
ただ、1973年11月25日から1984年8月3日までは8か月以上あります。1973年11月26~30日までは5日、これに1973年12月の31日を足して36日、…と計算していっても構いませんが、桁数が大きくなると、計算が面倒な上にミスをしそうです。
こういう場合は割り算のあまりの性質を利用します。
たとえば、15+16+17+18+19=85で、85を7で割ったあまりは1です。一方、15を7で割ったあまりは1、16を7で割ったあまりは2、17を7で割ったあまりは3、18を7で割ったあまりは4、19を7で割ったあまりは5で、これらのあまりの和は1+2+3+4+5=15です。この15を7で割ったあまりは1で、85を7で割ったあまりと等しくなります。
15~19以外の数字でも同じことが成り立つので、日暦算でも、次のように各月の日数を7で割ったあまりの和を考えましょう。28÷7のあまりは0、30÷7のあまりは2、31÷7のあまりは3です。(1974年は4で割り切れないので、うるう年ではありません)
- 1973年11月26~30日は5日 → 5(5÷7のあまり)
- 1973年12月は31日 → 3
- 1974年1月は31日 → 3
- 1974年2月は28日 → 0
- 1974年3月は31日 → 3
- 1974年4月は30日 → 2
- 1974年5月は31日 → 3
- 1974年6月は30日 → 2
- 1974年7月は31日 → 3
- 1974年8月1~3日は3日 → 3
したがって、あまりの和は2×2+3×6+5=27なので、27÷7=3あまり6より1974年8月3日は土曜日です。
数年後の曜日を知る方法は?
(3)も(2)と同じように考えて、各年の日数を7で割ったあまりの和を考えましょう。
1973年11月26~30日と1999年1月1日~8月1日までの日数のあまりは、(2)で求めた日数のあまりから1999年8月2~3日の2日分を引いて25です。(1999年も4で割り切れないので、うるう年ではないことから、1974年の日数をほぼそのまま使えます)
1974年~1998年は25年です。この中でうるう年になるのは、1976年、1980年、1984年、1988年、1992年、1996年の6年です。うるう年が何年かわからない場合、2000年がうるう年だとすぐにわかるので、この2000年から4を引いていきましょう。
1974年~1998年のうち、19年はうるう年ではないので365日です。365÷7のあまりは1です。一方、6年はうるう年なので366日です。366÷7のあまりは2です。
以上より、1973年11月26日~1999年8月1日の日数を7で割ったあまりの和は、25+1×19+2×6=56です。この56を7で割って56÷7=8あまり0なので、1999年8月1日は日曜日です。
「ノストラダムスの大予言は外れた」っていわれるけど、そもそもノストラダムスの大予言が五島勉の作り話だったんだから、外れたも何もないと思う。
五島は、黄道十二宮上で4つの惑星が十字型に並ぶグランドクロスを人類滅亡と結び付けたわ。でも、グランドクロスが起こったのは1999年8月18日で「7の月」じゃないから、結局はこじつけだったのよ。
1999年は何も起こらなかったけど、その後はマヤの大予言が話題となって、2012年人類滅亡説が出てくるんだ。もちろん、2012年も何も起こらなかった。そして、今度は……。切りがないから、この辺りでやめておくよ。
人類滅亡説が次々と出てくるのは、それだけ人々が不安を抱えてる証拠なんでしょうね。地球温暖化をはじめとする地球環境問題、それに伴う異常気象、新型コロナウイルスなどの疫病、世界各地で起こっている紛争・戦争、そして、日本で近い将来起こるといわれる南海トラフ地震……。私たちがいつ滅びてもおかしくない瀬戸際にいるのは確かだわ。
だからこそ、いつ滅んでも後悔しないように、おいらたちは一日一日を大切にしながら生きていかなきゃいけないんだね!
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