地獄に関連することわざ・慣用句8選!「地獄耳」「阿鼻叫喚」などを例文付きで紹介

地獄に関連することわざ・慣用句8選!「地獄耳」「阿鼻叫喚」などを例文付きで紹介 言葉
当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

 宗教の多くは死後の世界について語ります。そして、生前に悪いことをした者は死後、地獄に魂を送られて罰を受けるとされます。

 そんな地獄に関連することわざや慣用句などを紹介します。

細かく、生々しく、恐ろしく語られる地獄

 どの宗教でも、地獄については、かなり細かく、生々しく、恐ろしく語られがちです。

 仏教では、等活(とうかつ)・黒縄(こくじょう)・衆合(しゅごう)・叫喚(きょうかん)・大叫喚(だいきょうかん)・焦熱(しょうねつ)・大焦熱(だいしょうねつ)・阿鼻(あび)の八大地獄があるとされます。生前の罪の内容に応じて、どの地獄に落ちるかが決まるわけです。これとは別に八寒(はっかん)地獄もあるとされます。

地獄に関連することわざ・慣用句8選!「地獄耳」「阿鼻叫喚」などを例文付きで紹介

『地獄草紙』「雨炎火石」(モザイク無しはWikipediaを参照)

 一方、地獄の反対の極楽は、「安楽の世界」という一言で説明できてしまうお粗末さです。「苦しみがない」「楽しい」などの抽象的な言葉で語られ、地獄のように具体的なイメージが湧きにくい場所です。

 キリスト教の地獄と天国も仏教と似たり寄ったりです。やはり、地獄の迫力が天国の魅力に勝っています。

 人間を悪から遠ざけるには、極楽よりも地獄を強調した方が効果的だったのかもしれません。人間が変わるきっかけは恐怖と暴力であることは、今も昔も変わらない不変の真理といえそうです。

地獄に関連することわざ・慣用句8選

 学生の皆さんは、地獄に関連することわざや慣用句などを日頃から使いましょう。地獄に落ちる自分の姿を想像し、そうなるのを避けるため、悪いことをしない善人になってもらいたいものです。

1. 生き地獄

 生き地獄とは、生きているこの世界で、地獄にいるような苦しみを味わうことです。

 そもそも、この世界に人間として生まれたことも、仏教の六道輪廻(ろくどうりんね、りくどうりんね)の世界観では、苦しみに満ちた六道の一つの「人間道」とされます。

 人間は、生老病死(しょうろうびょうし)の四苦に、愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五蘊取蘊(ごうんしゅく)の四苦を加えた四苦八苦(しくはっく)に苦しみ続けなければなりません。

 人間道も地獄よりはマシなだけです。一刻も早く悟りを開いて極楽往生(ごくらくおうじょう)すべきです(笑)

【例文】母の不味い手料理を食べなければならない実家暮らしは、まさに生き地獄だね。

2. 地獄絵図

 地獄絵図とは、地獄で亡者(もうじゃ。死者のこと)が苦しむ様子を描いた絵のことです。ここから、とても悲惨な状況を「地獄絵図」というようになりました。

 本来の意味の地獄絵図として有名なのは、12世紀の絵巻物『地獄草紙(じごくぞうし)』です。これには、「髪火流地獄」「火末虫地獄」「雲火霧地獄」「雨炎火石地獄」などが描かれていますが、漢字の意味から、どのような地獄なのかを想像できるでしょう。

【例文】交通事故の現場は、アスファルトに無数の手足が散らばる地獄絵図だ。

3. 地獄耳

 地獄耳には、1.他人の秘密などの情報をいちはやく聞くことと、2.一度聞いたことをいつまでも覚えていることの2つの意味があります。

 亡者の行き先を決める裁判官である閻魔(えんま)大王は、亡者が生前に行ったどんなことも知っています。このことから1の意味が出てきたとされます。

 一方、地獄に落ちると抜け出すまでにかなりの時間がかかります。このことから2の意味が出てきたとされます。

【例文】隣の奥さんは噂話なら何でも知っている地獄耳なので、私たち夫婦の秘密もきっと知っているわ。

4. 地獄の一丁目

 地獄の一丁目は、とても恐ろしい場所や破滅などの始まりという意味です。

 そもそも「地獄に一丁目も二丁目もあるのか?」という話ですが、とりあえず一丁目です。これから二丁目、三丁目、……とめぐっていくことになるので、苦しみが続くことを暗示します。

【例文】パワハラで有名な部署に配属されるなんて、地獄の一丁目としかいいようがない。

5. 地獄で仏に会ったよう

 地獄で仏に会ったようとは、とても苦しいときや危ないときに、思いがけず助けてもらうことです。

 ここでいう「仏」は地蔵菩薩です。地蔵菩薩は、大きな慈悲の心で、地獄で苦しむ亡者すらも救います。しかも、六地蔵があることからもわかる通り、地蔵菩薩は、地獄に加えて、天・人間・修羅(しゅら)・畜生・餓鬼(がき)の六道全てを巡って、それぞれの世界で苦しんでいる者たちを救うとされます。

 そんな地蔵菩薩は、道端などに石像が立てられ、道祖神(どうそじん)の役割を担う「お地蔵様」として親しまれています。

 ちなみに、地蔵菩薩と閻魔大王は同一の存在です。閻魔大王は悪人を地獄に落としておきながら、地蔵菩薩としてその悪人を救っていることになります。

 仏教と他宗教の神々を融合した結果、もはや何が何だかわからない存在にされてしまったのが地蔵菩薩です(笑)

【例文】借金まみれで首をくくろうかと思っていたとき、彼女がポンと百万円を出してくれたのは、地獄で仏に会ったようだった。

6. 地獄の沙汰も金次第

 地獄の沙汰も金次第は、地獄の裁判も金さえ出せば有利になるという意味です。すなわち、地獄でさえそうなのだから、この世のあらゆることは金でどうとでもなるといいたいときに使うことわざです。

「沙汰」は裁判のことです。閻魔大王に裁かれるとき、そっと金を渡せば、たとえ悪人でも地獄行きを免除してもらえるのでしょう。

 日本の仏教では、金をかければかけるほど、死後の安泰が保障されるようです。1052年、当時の関白だった藤原頼通は、極楽往生を願って平等院鳳凰堂を建てましたが、随分と金をかけたものです。歴史的な権力者の例だけでなく、現代の庶民についても同じことがいえます。たとえば、死者が寺から授かる名前の戒名(かいみょう)は、お布施(ふせ)の金額によってランクがあります。

 このような金と仏教の関係を批判することわざとして、「地獄の沙汰も金次第」が広まったといわれます。

 資本主義の論理が世界を覆い尽くす現代は、まさに「地獄の沙汰も金次第」の時代です。多数の命が失われる戦争も、その背後には金の動きがあります。「地球より重い」といわれる人命ですら値段をつけられてしまいます。

【例文】示談金を支払って被害届を取り下げさせるとは、地獄の沙汰も金次第だ。

7. 進むも地獄退くも地獄

 進むも地獄退くも地獄は、どのように対応しても状況がよくならないことを意味します。

 吉凶を占う陰陽道(おんみょうどう)では、どの方角に進んでも不吉なことが起こると予想される状況を「八方塞(はっぽうふさ)がり」といいます。これが現代では「進むも地獄退くも地獄」と同じ意味で使われています。

 人生には、何をしても上手くいかない時期が必ずあるものです。そういうときこそ、人としての真価や本質が問われるのでしょう。

【例文】敵に囲まれている以上、進むも地獄退くも地獄だ。

8. 阿鼻叫喚

 阿鼻叫喚は、とても悲惨なことを意味する四字熟語です。戦争や災害などのむごたらしい状況を表現するときに使われます。

「阿鼻」は、八大地獄の最下層に位置する阿鼻地獄を意味します。阿鼻地獄は「無間(むげん)地獄」ともいわれるように、苦しみがく続く地獄の中の地獄です。

 一方、「叫喚」は叫喚地獄を意味します。ちなみに、叫喚は、大きな声で叫んだり喚(わめ)いたりすることです。

【例文】工場爆発の現場は阿鼻叫喚の光景だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました