【仕事算】最小公倍数を利用して簡単に解く!ゴミ屋敷の特殊清掃には何日かかるの?

【仕事算】最小公倍数を利用して簡単に解く!ゴミ屋敷の特殊清掃には何日かかるの? 算数
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 生活するための空間がゴミやモノで埋め尽くされている状態が「ゴミ屋敷」「汚部屋(おへや)」です。そこに住む人が生活しにくくなるだけでなく、悪臭や害虫の原因にもなります。こうしたゴミ屋敷や汚部屋の片づけを専門に行うのが特殊清掃業者です

【仕事算】最小公倍数を利用して簡単に解く!ゴミ屋敷の特殊清掃には何日かかるの?

ゴミ屋敷(画像は写真ACより)

 幽美狐の住む家の近所にも、長年放置されて廃墟になったゴミ屋敷があります。このゴミ屋敷が解体されることになり、大量のゴミを片づける特殊清掃が始まりました。中学受験算数でよく出る「仕事算」を学ぶチャンスです。

仕事算で最初にやるべきことは何か?

【問題】特殊清掃業者があるゴミ屋敷を片づけます。この業者のスタッフA1人で片づけると15日で、スタッフB1人で片づけると18日でそれぞれ片付けが終わります。また、スタッフAとスタッフCの2人で片づけると、10日で片づけが終わります。

(1) このゴミ屋敷をスタッフC1人で片づけると、何日で片づけが終わりますか。

(2) このゴミ屋敷をスタッフAとスタッフBとスタッフCの3人で4日間片づけた後、スタッフCが抜けて、スタッフAとスタッフBの2人で片づけます。片づけを始めてから終わるまで何日かかりますか。

(3) このゴミ屋敷をスタッフAとスタッフBとスタッフCの3人で片づけていましたが、ある日の片づけ終了後、幽霊が出てきて「家のものを持っていくな!」とスタッフ3人に言いました。その翌日は片づけを中断して、お坊さんを呼んで1日かけてお祓いをしてもらいました。次の日、スタッフAは幽霊におびえて退職してしまい、スタッフBとスタッフCの2人で片づけを再開しました。片づけを始めてから終わるまで10日かかったとき、スタッフBとスタッフCの2人で片づけたのは何日間ですか。

【問題】のように、ある仕事を一定のペースで進めていくとき、その仕事を進める速さやかかる時間などを求める特殊算が「仕事算」です

 仕事算で最初にやるべきは、全体の仕事量を決めることです。漠然と「仕事量」といわれてもイメージがつかみにくければ、次のように具体的に考えましょう。

  • 印刷する仕事 … 全体の仕事量は、印刷物すべての枚数
  • 荷物を運ぶ仕事 … 全体の仕事量は、運ぶ荷物すべての個数
  • ペンキを塗る仕事 … 全体の仕事量は、ペンキを塗るべき壁全体の面積

【問題】の特殊清掃だと、ゴミ屋敷から運び出すすべてのゴミの重さをイメージするとわかりやすいはずです。たとえば、すべてのゴミの重さを5000kgと決めれば、10日で片付けが終わるとき、1日で運び出すゴミの重さは5000÷10=500(kg)になります。

 ここでは勝手に5000という数字を決めました。このように、仕事算では、全体の仕事量をどんな数字にしても最終的には同じ結果になります

全体の仕事量を1に決めて解く

 多くの参考書や問題集では全体の仕事量を1に決めています。これらの参考書などに合わせて、【問題】でも全体の仕事量を1に決めます(「全体の仕事量が1」でイメージがつかみにくければ、「すべてのゴミの重さが1トン」などと具体的に考えてください)。

 (1)では、まずC1人の1日の仕事量を求めます。

 全体の仕事量が1だとすると、A1人、B1人、AとCの2人のそれぞれの1日の仕事量は次のように求められます。

  • A1人の1日の仕事量 … 1÷15=\(\frac{1}{15}\)
  • B1人の1日の仕事量 … 1÷18=\(\frac{1}{18}\)
  • AとCの2人の1日の仕事量 … 1÷10=\(\frac{1}{10}\)

 したがって、C1人の1日の仕事量は\(\frac{1}{10}\)-\(\frac{1}{15}\)=\(\frac{1}{30}\)なので、(1)の答えは1÷\(\frac{1}{30}\)=30(日)です。

 全体の仕事量を1に決めると、分数が出てきて計算が面倒になります。そのため、全体の仕事量を、問題文で与えられた日数の最小公倍数に決めるのがおすすめです。

 この後の解説では全体の仕事量を最小公倍数に決めて計算しますが、全体の仕事量を1に決めて計算しても(2)(3)の答えを求められます。

全体の仕事量を最小公倍数に決めて解く

 問題文では「15日」「18日」「10日」という日数が与えられています。そのため、15と18と10の最小公倍数180を全体の仕事量に決めます。

 (1)では、まずC1人の1日の仕事量を求めます。

 全体の仕事量が180だとすると、A1人、B1人、AとCの2人のそれぞれの1日の仕事量は次のように求められます。

  • A1人の1日の仕事量 … 180÷15=12
  • B1人の1日の仕事量 … 180÷12=10
  • AとCの2人の1日の仕事量 … 180÷10=18

 したがって、C1人の1日の仕事量は18-12=6なので、(1)の答えは180÷6=30(日)です。

 (2)では、(1)で求めたA1人、B1人、C1人それぞれの1日の仕事量を使って計算します。

  • AとBとCの3人で4日間片づけるときの仕事量 … (12+10+6)×4=112
  • 4日間片づけた後に残っている仕事量 … 180-112=68
  • AとBの2人で片づけるときの日数 … 68÷(12+10)=3\(\frac{1}{11}\)

 3\(\frac{1}{11}\)日については、\(\frac{1}{11}\)日を切り捨てて3日にすると、\(\frac{1}{11}\)日分の片づけが終わらなかったことになります。そのため、\(\frac{1}{11}\)日を切り上げて4日として、片づけを始めてから終わるまでの日数は4+4=8(日)です。

みみずく
みみずく

中学受験生の多くは「仕事算は難しい」と思っています。でも、全体の仕事量を最小公倍数にすれば、簡単な割り算の問題になるので、決して難しくありません。「180ページの本を1日12ページずつ読んだら、何日で読み終わりますか。」という問題と考え方は全く同じです。

仕事算をつるかめ算で解く

 (3)では、片づけを始めてから終わるまでの10日間のうち、お祓いに1日かけているため、片づけをしていた日数は10-1=9(日間)です。

 このように、仕事にかかったすべての日数がわかっていて、1日の仕事量が途中で変化する仕事算は、つるかめ算で解くのがコツです。つるかめ算の詳しい解説は、以下の記事を参考にしてください。

【つるかめ算】表と面積図でわかりやすく解く!バジリスクとコカトリスは何匹いるの?
異世界に転生したカズは、部屋から脱出するため、つるかめ算を解くことになりました。表や面積図を使ってバジリスクとコカトリスの数を求めましょう。

 つるかめ算では仮定が大事です。(3)では「AとBとCの3人で9日間片づけた」と仮定します。このときの仕事量は(12+10+6)×9=252です。

 全体の仕事量は180なので、252-180=72の差が生じます。この差は、「お祓いが終わった次の日以降もAが片づけをしていた」と仮定したときの仕事量です。したがって、72をAの1日の仕事量12で割って、72÷12=6(日間)が(3)の答えです。

 (3)をつるかめ算で解くときに面積図を描くなら、下の図のようになります。

【仕事算】最小公倍数を利用して簡単に解く!ゴミ屋敷の特殊清掃には何日かかるの?

幽美狐
幽美狐

ゴミ屋敷に出てきた幽霊は、以前この屋敷に住んでた人だと思うわ。ため込んだモノに対する執着が強くて成仏できなかったのね。

ゴミ屋敷や汚部屋になってしまう原因とは?

 ゴミ屋敷や汚部屋になってしまう原因としては認知症や精神病があります。そこに住む人が心身を病んだ結果、ゴミを捨てられなくなったり、モノをため込んだりします。しかし、認知症などの病気や障害がなくても、ゴミ屋敷になってしまうことがあります。

 最近はゴミの分別が厳しくなりました。そのため、分ける作業が苦手な人や、仕事が忙しくて時間がない人は、ゴミ出しをできずにため込んでしまうことがあります。

 また、経済的に苦しくなったり、親しい人と別れたりするなど、何らかのきっかけで人はセルフネグレクトになることがあります。セルフネグレクトとは、自分自身の健康や安全に対して関心がなくなって、適切に自己管理ができなくなった状態です。セルフネグレクトになると掃除をしないため、生活するための空間がゴミで埋まってしまいます。

 ゴミ屋敷問題の背景には、血縁者や地域のつながりが希薄になり、孤立する人が増えたという現代社会の問題があります。片づけが苦手な人やできない人は、誰にも助けてもらえず、助けを求めることすらできず、ゴミがどんどん増えていきます。ゴミ屋敷問題は孤独死と密接にかかわっているともいわれます。

 環境省が2022年度に行った実態調査によると、全国5224カ所にゴミ屋敷があるそうです。ゴミ屋敷のゴミは個人の所有物であるため、行政が介入して撤去するのが難しく、周辺住民からのクレームがあってもなかなか解決できないのが現状です。

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